アミノ酸スコア、という言葉、聞いたことがありますか?
タンパク質の品質を数字で表したものなのですが、
これは肉食獣の猫の食生活、健康に深く関わってくる大切なものです。
猫の食事を考えるうえで、重要なベースとなるものなので
できるだけわかりやすく書いてみました。
アミノ酸スコアとは?
タンパク質は複数のアミノ酸からできています。
アルギニン、メチオニン、ロイシン……その他色々。
アミノ酸にはたくさんの種類がありますが、その中には体内で作ることができず、
食べ物として日々の食事から摂取するしかないものがあります。
こういうアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。
食べ物に必須アミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかを
数字で表したものが「アミノ酸スコア」。
100が一番高い数字で、完璧なバランスを持つもので、
数値が高いほどバランスがよく良質なタンパク質、とされているのです。
アミノ酸のバランスが悪いとどうなる?猫にはどんな影響が?
アミノ酸スコアが低いタンパク質ばかりを食べていると
いったいどういう悪い点があるのでしょうか?
口から入ったタンパク質は、体内でアミノ酸に分解され、
分解されたアミノ酸は新たに複数のアミノ酸同士でくっついて
筋肉や内臓、細胞組織などに生まれ変わります。
この時、必要なアミノ酸が足りなければ
作られるタンパク質の量が減ってしまいますし、
余ってしまうアミノ酸も発生してしまいます。
例えば、ケーキを10個作るために
小麦粉500g、バター50g、卵10個が必要だとしますよね。
でも、この時、小麦粉が400gしかなかったら?
ケーキは8個しか作れませんよね。
たとえバターや卵の量が足りていても
小麦粉が足りないので10個のケーキは作れません。
さらに、8個しかケーキを作れないので
バターが10g、卵が2個余っちゃいます。
10個ほしいケーキが8個しか作れないのもよくありませんが、
もっとよくないのは余ってしまうバターや卵のほうです。
体の中で、たとえアミノ酸が余ってしまっても
それはほとんどが何らかの形で代謝されてしまいます。
そして、タンパク質→アミノ酸が代謝されれば
必ず発生するのが尿素窒素(BUN)という老廃物。
BUNってどこかで聞いた気がする…?
ハイ、「BUN」とは、動物病院で愛猫の血液検査をしてもらった時
必ず出てくる重要なものです。
BUNをろ過してオシッコと一緒に排泄するのが腎臓の大切な仕事のひとつなんですが、
腎不全になると、このろ過機能が低下してオシッコと一緒に排泄される分が減ってしまい、
血液中にBUNが増えてきてしまいます。
つまり、血液検査でBUNの値が増えていれば、
それは腎機能の低下の可能性が高い、ということなんですね。
この老廃物であるBUNを処理するのは腎臓の仕事。
老廃物が増えればそれだけ腎臓の仕事も増え、
負担が大きくなってしまうんです。
腎不全になりやすいと言われる猫。
筋肉や内臓、その他もろもろ体を作るために
役に立ってくれたアミノ酸の処理ならともかく、
余ってしまい、有用に利用できなかったアミノ酸で
腎臓の仕事を増やしてしまうのは、極力避けたいことだとは思いませんか?
アミノ酸スコアの高い食べ物、低い食べ物、猫に与えたいのはどっち?
食品別のアミノ酸スコアを
キャットフードによく使われる食品を中心にまとめてみました。
鶏肉 | 100 | 精白米 | 65 |
豚肉 | 100 | 玄米 | 68 |
牛肉 | 98 | 小麦粉 | 44 |
鮭 | 100 | トウモロコシ | 42 |
まぐろ | 100 | じゃがいも | 68 |
ハイ、一目瞭然ですよね。
肉や魚はおしなべてアミノ酸スコアが高く、穀物や野菜は低いです。
タンパク質を効率よく摂取しようと思ったら
猫にはやっぱり肉や魚なんです!
特に注意したいのが、小麦粉、トウモロコシ、じゃがいも。
これらはもともとタンパク質の含有率自体は低いので(8~10%くらい)
食材としてそのままキャットフードに使われている分にはまだいいのですが、
(炭水化物が多いのはどうよ?というのは置いといて)
タンパク質だけを抽出した状態で使われているときは注意です!
キャットフードの原材料によく見かける、
グルテン、コーングルテン、ポテトプロテイン。
それぞれ小麦粉やトウモロコシ、じゃがいもから
タンパク質だけを抽出した食材です。
ほぼ100%タンパク質で、アミノ酸スコアが低い。
こんな食材を多用していたら、タンパク質の効率よい摂取なんてできませんよね。
グルテン類は他にもキャットフードの素材として不適切なこともありますが、
アミノ酸スコアの点からも望ましくないものなんですよ。
まとめ~猫とアミノ酸スコアの深い関係
アミノ酸スコアのこと、理解していただけたら
猫にとってベストなタンパク質はやはり肉や魚!
ということがあらためて実感できると思います。
腎不全になりやすい猫、腎臓に余計な負担をかけないためにも
タンパク質は量だけではなく質にもこだわりたいものですね。
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