愛猫にストラバイトができたり膀胱炎になったら療法食を与えると思いますが、
無事ストラバイトが消えた、膀胱炎も治った、そのあとはどうしますか?
予防のためにこれからもずっと療法食で、って言われました!
ハイ、獣医さんからそう言われた飼い主さんも多いでしょうし、
「一度ストラバイトになったら一生療法食」というご意見も世間には多いです。
でもストラバイトの療法食は、治療効果が高い反面、栄養上のデメリットも多いです。
管理人もみじは「ずっと療法食」はまったくおススメしません。
目次
猫のストラバイト、「ずっと療法食」が危険な2つの理由とは?
ストラバイトの療法食には、長く食べ続けると
- 過度にオシッコを酸性にしてしまうことがあり、
それが原因で別の種類の結石ができてしまう可能性がある。 - アミノ酸スコアの低いタンパク質を多用しているので、腎臓に負担がかかる
という2つの大きなデメリットがあります。
だから治療のために与えるのはアリですが、治ってるのに予防のため、と言って
長期間与え続けることはまったくおススメできません。
いつまで療法食?と聞かれたら
管理人もみじは「ストラバイトや膀胱炎が治るまで」とお答えしています。
【合わせて読みたい、ストラバイトの療法食のデメリットがよくわかる記事】
ストラバイトが治ったら与えたいキャットフード、どうやって選ぶ?
でも、今までのキャットフードに戻すのは心配です!
そうですよね、なので、ストラバイトを予防する効果の高い
キャットフードをご紹介します!
と、その前に、管理人もみじがご紹介するキャットフードを選ぶ基準について
先に説明させてください。
水分が多いキャットフードであること
ストラバイトや膀胱炎の予防には、十分な水分摂取がとても大切。
しっかり水分摂取をして、オシッコの量や回数を増やせば、
膀胱内でストラバイトや膀胱炎の原因になる細菌や
できてしまった小さなストラバイトくらいならオシッコと一緒に押し流して
膀胱内を清潔に保つことができます。
動物性タンパク質の豊富なキャットフードであること
肉や魚などの動物性タンパク質には、メチオニン、シスチンといった
含硫アミノ酸が豊富に含まれています。
含硫アミノ酸には、オシッコを酸性にしてストラバイトや膀胱炎を防ぐ効果があるので
動物性タンパク質が豊富であることがすごく大切です。
【合わせて読みたい、含硫アミノ酸の効果が深くわかる記事】
ファーストチョイスは必然的にウェットフードに!
上に書いた2つの条件を満たすキャットフード、
特に水分が多い、という条件を満たすものは必然的にウェットフードになります。
なんといっても水分量が全然違う。
ドライは10%くらいですが、ウェットフードは80%くらいですから。
自分からあまり水を飲まない猫にとって
食事と一緒に水分を取れるのは大きなメリットになります。
そして、ある程度良質なウェットフードなら、
タンパク質の大部分が動物性であることも強みです。
ドライフードだと、粒状に固めるためにある程度のデンプン質が必要なので
どうしても穀物や豆類、ジャガイモなどを入れざるを得ないようですが、
ウェットフードならそういう必要もないので、気兼ねなく動物性タンパク質を
たっぷり配合できるんです。
たいていのウェットフードはドライフードよりタンパク質が多いです
でもウェットフードってドライフードよりタンパク質が少ないですよね?
時々聞かれるこんな疑問ですが、いえいえ、そんなことはないんです。
確かに、パッケージに書かれている成分分析値を見ると
ドライフードのタンパク質は30%~40%くらい、ウェットフードは7%~10%くらい、
ドライフードのほうが多いように見えますよね。
でもこれはドライフードとウェットフードの水分量の違いからくるものなんです。
栄養計算をするときは、「乾燥重量」と言って
水分を抜いて計算しないと正確な含有率はわからないんですが、
キャットフードのパッケージに書かれている成分分析値は水分を含めたままの数値です。
だから一見、水分の少ない濃縮された食事であるドライフードのほうが
タンパク質もその他の栄養素も多く表示されてしまうんですよ。
例えば、タンパク質35%のドライフードと、10%のウェットフードを
両方とも水分を抜いた状態で計算しなおしてみると
パッケージの成分分析値 | 水分を抜いて計算しなおし | |
ドライフード | 35% | 38.889% |
ウェットフード | 10% | 45.455% |
どうでしょう?ウェットフードのほうがタンパク質が多くなりますよね。
ストラバイトの予防には、動物性タンパク質をたっぷり摂取することが大切。
その意味でもウェットフードは優れた食事なんですよ。
【合わせて読みたい、ウェットフードのことがよくわかる記事】
ストラバイト療法食を卒業したら与えたいウェットフードベスト3!
動物性タンパク質が豊富で、脂肪もある程度含まれている、
猫にとって栄養バランスの良いウェットフードを選びました!
もちろん、すべて総合栄養食、主食としてこれだけ与えても大丈夫なフードです。
カントリーロード フィーラインアドバンス チキン&ベジダブル
数少ない、というか、良質なキャットフードで国内メーカーと言うとここ以外ないかも?
と思えなくもない、カントリーロードのウェットフードです。
基本成分値
粗タンパク質 | 13.50% |
粗脂肪 | 6.00% |
粗繊維 | 0.50% |
粗灰分 | 2.00% |
水分 | 72.00% |
原材料(フィーラインアドバンス チキン&ベジダブル)
チキン、チキンレバー、ニンジン、カボチャ、エンドウ豆ファイバー、ガラクトオリゴ糖、タピオカスターチ、卵白、乳酸カルシウム、トマト、ヒマワリ油、ビール酵母、リン酸ナトリウム、レシチン、硫酸マグネシウム、魚油、塩化カリウム、昆布、タウリン、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄、キレートセレン、キレートマンガン、ビタミンE、グルコン酸銅、チアミン、ビタミンD3
乾燥重量のタンパク質量 48.2%
値段:70g 374円
コスパ:10gあたり53.4円
基本成分値では、13.5%と高めのタンパク質量ですが、
他社のウェットフードよりやや水分が少ないので、乾燥重量にすると
わりと平均的な数値になります。
ウェットキャットフードの中では、平均的なタンパク質量ですが、
ほぼすべてが動物性タンパク質のウェットフード。
腸内環境を整える効果がある、
ガラクトオリゴ糖やビール酵母が配合されているのも心強く、
原材料を見た限りでは、加工品がほぼないので添加物もほぼない、
もしくは含まれているとしても非常に少量だと推察できます。
ストラバイト予防効果ももちろんですが、特に健康に不安のない猫にも
安心して普段使いができる栄養バランスと言えるでしょう。
フィーラインアドバンスシリーズには
チキン&ベジダブル以外にも
ポーク、チキン、フィッシュなどがありますが、
栄養バランスがよく、ストラバイトの予防や対策に
効果が高いのは、チキン&ベジダブルかポークでしょうか。
【カントリーロードフィーラインアドバンスのよいところ】
- 栄養バランスがよく、普段使いにも最適
- ガラクトオリゴ糖、ビール酵母配合で腸内環境にも配慮
- 添加物がない、もしくは非常に少量
※カントリーロードフィーラインアドバンスシリーズは
7/5現在、Amazonでは販売されていないようです。
いつもAmazonで購入している方にはごめんなさい。
楽天での購入を考えてみてください。
ティキキャット ベルベットシリーズ
日本では、比較的新しいアメリカのキャットフードメーカー。
今のところ、ウェットフードのみでドライフードは販売していない、
ちょっと珍しいブランドです。
基本分析値 | |
粗タンパク質 | 14.0% |
粗脂肪 | 4.5% |
粗繊維 | 1.0% |
粗灰分 | 2.0% |
水分 | 80.0% |
原材料(ベルベット マグロ&サバ)
マグロブイヨン,マグロ,サバ,乾燥たまご,ヒマワリ種子油,増粘安定剤(キサンタンガム),食塩,タウリン,アミノ酸類,ビタミン類,ミネラル類
乾燥重量のタンパク質量 70.0%
値段:80g 319円
コスパ:10gあたり39.8円
タンパク質14.0%、乾燥重量だと70%、という驚きの高タンパクフード。
ドライフードに換算すると60%台後半くらいの値になります。
もちろんほぼすべてが動物性タンパク質です。
ストラバイト予防という点で、とても優れたフードだと思います。
そして固形物がほとんどなく、かなり柔らかい食感、
ムースというよりクリームと言ったほうがあってるかも。
ウェットフードが上手に食べられない猫も時々いますが
これくらい柔らかいと食べやすいんじゃないかな。
原材料を見る限り、添加物は入ってない、
もしくはとても少ないと思われます。
【ティキキャットベルベットシリーズのよいところ】
- とにかくタンパク質量が高い!タンパク質含有率70%は驚き
- 固形物のない柔らか食感で食べやすい
- 添加物がない、もしくは非常に少量
ニュートロワイルドレシピ パテタイプ
ニュートロは古くから馴染みのあるキャットフードブランド。
昔はどちらかと言うとコスト重視の安価なフードのイメージがありましたが、
最近では品質重視のフードを開発するようになっています。
基本成分値 | |
粗タンパク質 | 12.5% |
粗脂肪 | 6.5% |
粗繊維 | 1.0% |
粗灰分 | 3.5% |
水分 | 78.0% |
原材料(ワイルドレシピ チキン&ビーフ パテ)
鶏レバー,チキン,ビーフ,肉エキス,フィッシュオイル,ビタミン類,ミネラル類,アミノ酸類,増粘多糖類
乾燥重量のタンパク質量 56.8%
37.5gづつ小分けされてます。
切り離せるから保存に便利。
なめらかなムース状です。
値段:75g 198円
コスパ:10gあたり26.4円
ニュートロワイルドレシピのパテタイプもかなりの高タンパクフードです。
もちろんほぼすべてが動物性タンパク質。
「パテタイプ」と「ざく切りタイプ」がありますが、
より高タンパクなのは「パテタイプ」、
おすすめしたいのはこの「パテタイプ」のほうです。
ごく細かい固形物はありますが、
全体的にはなめらかでやや硬めのムース状。
37.5gづつ小分けされていて、
片方を開封してももう片方は未開封にしておけるので、常温保存で大丈夫。
冷蔵庫で冷えてしまったフードが苦手な猫にうれしい配慮です。
【ニュートロワイルドレシピのよいところ】
- タンパク質が豊富、タンパク質含有率56.8%
- 固形物はとても細かく、なめらかなムース状で与えやすい
- 小分けパックで常温保存ができる
ウェットフードを主食にするときに注意すべきこととは?
良質なウェットフードはストラバイト予防に最適のフード。
総合栄養食なら、主食としてそれだけを与えても大丈夫です。
管理人もみじは、ストラバイト予防に限らず、
猫に必要な栄養面から考えてすべての猫に
主食としてウェットフードをおすすめしています。
ただし、長期にわたりずっとウェットフードだけ、
というのは大きなデメリットもあります。
高タンパク、高脂肪のキャットフードは腸内環境が悪化しやすい
猫は肉食獣、タンパク質や脂肪が多く、糖質はちょっぴり、という食事が理想ですが、
猫にとって理想的な食事は腸内環境を悪化させやすい食事でもあります。
腸内の善玉菌は、発酵物や腸管で吸収されずに大腸まで届いた糖質、
水溶性食物繊維などがエサになりますが、悪玉菌はタンパク質や脂肪をエサにします。
だから、高タンパク高脂肪の食事は悪玉菌を増やしてしまう食事でもあるんですよね。
腸内環境が悪いと
- 基礎代謝が下がる、脂肪を蓄積しやすくなるなど肥満になりやすい
- 免疫力が下がる
- 便秘になりやすい
- 悪玉菌が作り出す毒素が腎臓に負担をかける
など、猫の健康に悪い影響を与えるようになります。
まずは2週間!ストラバイト予防を優先させてみる
とはいえ、せっかく治ったストラバイトや膀胱炎、
再発はなんとしてでも防ぎたいところですよね。
そこで、管理人もみじのおすすめは
うむ、最初の2週間はとにかくタンパク質の量を重視した食事をするのがよいですよ。
猫せんせいに先に言われてしまいましたが、その通り!
上でご紹介した3つの中から選ぶなら、ティキキャットかワイルドレシピ。
タンパク質の量を重視したウェットフードがおすすめです!
もちろん、タンパク質源はほぼすべて動物性、というのが大前提ですよ。
2週間様子を見て、ストラバイトや膀胱炎が再発せずに過ごせたなら
フードの切り替え時です。
タンパク質重視の尖ったバランスのフードから、もう少しマイルドな、
栄養バランスのよい食事に移行するのがよいと思います。
その時におすすめしたいのが、カントリーロードモグモグシリーズのような、
原材料の質がよく、栄養バランスがよいウェットフードです。
ティキキャットやワイルドレシピは、糖質や水溶性食物繊維はほぼゼロですが、
カントリーロードモグモグシリーズは、糖質+水溶性食物繊維が合計で20%ほど含まれています。
糖質や食物繊維を加えることで、タンパク質や脂肪を少し減らし、
腸内環境の悪化にブレーキをかけることができますよ。
特にカントリーロードモグモグシリーズは、ガラクトオリゴ糖とビール酵母の配合で、
腸内環境改善に積極的にアプローチできる、とてもよいウェットフードだと思います。
ドライキャットフードは与えてはダメ?
ストラバイト予防に、ドライキャットフードはあげちゃダメなの?
いえいえ、そんなことはありません。
上のほうで、最初の2週間はとにかくタンパク質量の多いフードを、ということで
ウェットフードを強くおススメしましたが、
経過を見て再発の恐れが感じられないようなら、ウェットフードと併用するのは
問題ないと思います。
管理人もみじも、普段の食事ではウェットフードとドライフードを両方あげてます。
ドライフードは糖質や食物繊維の補給源、といった感覚かな?
ウェット:ドライ比は8:2か7:3くらいです。
ティキキャットやワイルドレシピのように、
糖質や水溶性食物繊維がほぼゼロのウェットフードの場合、
普段の食事としてなら、むしろドライフードを併用して
糖質や水溶性食物繊維を補充したほうがいいでしょう。
ただし、ドライフードだけ、というのは率直に言ってあまりおすすめしません。
水分が不足しやすくなるなど、ストラバイト対策の点でもそうですが、
糖質が多いことで肥満や糖尿病を誘発するリスクが高くなるからです。
でも最近では、ドライフードもなかなかがんばっていて、
高タンパク、かつ動物性タンパク質の比率が高いものも増えてきました。
そして、ウェットフードがどうしても苦手な猫もいますよね。
ウェットフードを食べてくれない猫のために
ドライフードでストラバイトや膀胱炎の予防に
効果があると思われるフードも探してみました。
【ウェットフードが苦手な猫のために、ドライフードのおすすめ】
まとめ
ストラバイトや膀胱炎が完治したら、療法食は卒業です。
そこでどんな食事を、どんなキャットフードを与えたらいいのか?
これは愛猫の食事を見直すチャンスでもあります。
愛猫がストラバイトや膀胱炎で苦しむことのないよう、
元気で長生きしてくれるよう、
あなたの愛猫にあった食事を探してみてくださいね。
コメント
もみじ先生
うちのあんこが、またおしっこが出なくなり、4月11日に緊急入院となりました。
治療から1ヶ月、おしっこの量も増えて元気になって嬉しいなと思っていた矢先でした。
おしっこのPHは7.0
尿素窒素の値は20
クレアチニンの値は1.5
シュウ酸とストラバイトで、おしっこの中にパウダーのようなものが沈殿していました。
どうも
尿道の先が細くて詰まり易いようです。
尿道閉塞を解除する為に入院となりました。
ロイヤルカナンのユリナリーSO/CTL
これをしばらく食べさせる事になりました。
体質もあるのでしょうか。
尿道の先が細いというのも気になります。
退院して5日過ぎ、だいぶ元気に動き回るようになり、安堵しています。
乳酸菌を摂取して欲しいので、
ヒルズの療法食の缶詰を購入しました。
先生の家の猫ちゃんの様に、元気で長生きして欲しいと思います。
もみじ先生から、
アドバイスをいただけたらと思います。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
しのぶさんこんにちは。
毎度お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
>シュウ酸とストラバイトで、おしっこの中にパウダーのようなものが沈殿
シュウ酸が結晶化していたということでしょうか?
シュウ酸カルシウム結晶?
だとしたらロイカナの療法食はあまりおすすめしないかな…
https://xn--f9jyah1fr406b.xyz/cat-recuperation-food4
↑でも書いているんですが、
そもそもストラバイト対応の療法食は
長期連用でシュウ酸カルシウム結石ができてしまうリスクが高まりますし
ロイカナは他の療法食と比べるとナトリウム量がかなり多いので
その点もカルシウム系結石についてはリスク要因です。
尿Phが中性~弱酸性に落ち着くまでは
療法食でいくのがよいとは思いますが
ロイカナ以外の、たとえばヒルズあたりをおすすめしたいところです。