グレインフリーなら良いキャットフード?誤解と間違いについて徹底解説!

キャットフードはグレインフリーがいい? 猫の食事、栄養

グレインフリーのキャットフードが出回るようになって
だいぶ時間が経ちました。

当初は珍しく、高価なキャットフード、というイメージが強かったですが、
最近では比較的安価なキャットフードにも
グレインフリーを謳ったものが増えてきています。

この記事では、グレインフリーキャットフードが
猫にとってどういう意味があるのか、
グレインフリーキャットフードが珍しいものではなくなった今、
改めて考えてみたいと思います。

グレインフリー今昔物語、昔は高級品、今は?

現在も日本で販売しているキャットフードで、
比較的早い段階でグレインフリーを謳っていたのは
「オリジン」だったと記憶しています。

当時としては、かなり高額だったオリジンのキャットフード。
追随するように他にもグレインフリーを謳ったキャットフードが
いくつか登場しましたが、どれもかなりお高いフードでした。

今はどうでしょうか?
グレインフリーキャットフードの人気にあやかろうと
さまざまなメーカーが穀物不使用のキャットフードを販売しています。

昔はお高いフードの印象が強かったグレインフリーも
今では「ピュリナワン」のような
比較的安価なキャットフードにも登場するようになりました。

グレインフリー=高タンパク質は昔話?

登場して最初のころは、ほぼすべてのグレインフリーキャットフードは
確かに高タンパクでした。

肉食獣の猫にふさわしい食事として紹介され、
炭水化物(穀物)を減らしてタンパク質(肉や魚)を増やす、
そういう考えのフードだったと思います。

でも、現在ではだいぶ様子が変わってきたようです。
ある2つのキャットフードを比較してみました。

ハッピーキャット センシティブ グレインフリー レンティア

※保証分析値
タンパク質32%以上  脂質14%以上  粗繊維3.0%以下  灰分7.5%以下  水分9%以下

ハッピーキャット スプリーム アダルト
アトランティックラックス

※保証分析値
タンパク質32%以上  脂質18%以上  粗繊維3.0%以下  灰分6.5%以下  水分9%以下

ハッピーキャットという、ドイツのキャットフードなんですが、
左がグレインフリー、右が穀物使用のものです。

タンパク質の含有率、どちらも32%でまったく同じですよね。
32%って、最近のキャットフードの中では
決して高いタンパク量ではありません、普通くらいかな。

このように、グレインフリーのキャットフードでも
決して高タンパクとは言えないものも増えているのが現状です。

猫は穀物を消化できない?

グレインフリーキャットフードが登場したころ、
よく言われていたのが「猫は穀物を消化できない」ということでした。

だからグレインフリーがいいんですよ、というわけですが、
果たして猫は本当に穀物を消化できないのか?

答えはNO、猫もちゃんと穀物を消化することができます。

ただし、生のままの穀物の消化はほぼできません。
これはヒトも同じですよね。
だから米は炊いて食べるし、麦はパンにするし
トウモロコシだって焼いたりゆでたりして食べるのが普通です。

これは、米や麦、トウモロコシに含まれるデンプンが
水分と熱を加えることで、消化されやすくなるからです。

キャットフードも同じ、水分と熱を加えて作っているので
消化しやすくなっているから猫も大丈夫、なんです。

ただし、猫は穀物(糖質)をたくさん消化するのは苦手

穀物の主成分はデンプン、糖質の一種です。

肉食獣の猫は、捉えた生き物の肉を食べる生き物。
エネルギー源として、タンパク質や脂肪を消化吸収するのは得意ですが、
デンプンをはじめとする糖質をたくさん消化するのはちょっと苦手です。

糖質の消化には、アミラーゼという消化酵素が必要ですが、
猫はヒトや犬と比べると、アミラーゼの分泌量がかなり少ないです。

捕らえた獲物のお腹に入っている穀物や木の実くらいの量なら
ちゃんと消化できますが、たくさん消化するのは
アミラーゼを作るすい臓に負担が大きく、
同じくすい臓から作られるインスリンの大量分泌にもつながり、
肥満や糖尿病の原因にもなります。

「猫は穀物をちゃんと消化できるけど、たくさんは無理」
このことを覚えておいてくださいね。

猫に炭水化物は必要ない?

グレインフリーキャットフードが流行しだした頃、
しばしば見かけたうたい文句が
「猫に炭水化物は必要ありません」でした。

猫に炭水化物は本当に必要ないのでしょうか?

猫せんせい
猫せんせい

いやいや、少しでいいのですが炭水化物も食べさせてほしいですな。

猫せんせいにお願いされてしまいましたが、
このお願いは意外と大切です。

猫は肉食獣、タンパク質と脂肪だけで
エネルギーを作り出すことができますが、
タンパク質と脂肪ばかりの食事では
腸内環境が悪化してしまいます。

腸内環境の悪化は、下痢や便秘と言った
目に見えやすい症状だけでなく、
免疫力の低下、消化吸収力の低下、
腎臓や肝臓への負担が増える、など
猫の健康に大きな悪影響を与えてしまいます。

腸内環境を悪くしないために、
猫が無理なく消化できるくらいの
少量の炭水化物はとても大切なんです。

キャットフード、グレインフリーにこだわる必要なし!

グレインフリーだからって高級品なわけではないし、
グレインフリーだからって高タンパクなわけでもない。

猫は穀物も少しならちゃんと消化できるし
炭水化物だって必要。

もはやグレインフリーのキャットフードに
こだわる理由は何一つないと思います。
(穀物アレルギーの猫以外)

穀物が入っているキャットフードにも
よいものはたくさんあります。
それを「グレインフリーじゃないから」というだけで
排除してしまうのはとてももったいない。

愛猫のフード選び、「グレインフリーだけ」から
卒業してみませんか?

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