猫の腎不全、予防にも対策にも【腸活】がカギになる?

猫の腎不全と腸内環境 猫の腎不全

腸内細菌の研究が進み、近頃では腸内環境の良し悪しが
他の臓器にも大きな影響を与えることがわかってきました。

特に腎臓への影響が大きく「腸腎連関」という言葉も登場、
腸内環境と腎臓の関係も次々と明らかになってきています。

ヒトの世界でも、腸内環境を整えることで健康になろう、
という意識が高まり、【腸活】が話題を集めています。

この記事では、猫の慢性腎不全の進行を抑えるために、予防のために
腸内環境の改善、つまり【腸活】がとても大切であることを
わかりやすく説明しています。

「腸腎連関」とは?

腸内環境と腎臓が相互に影響を及ぼしあうことを「腸腎連関」と呼びます。

腸腎連関に関する研究は、東北大学と慶応大学の共同研究で
『「腸腎連関」:腸 内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病悪化抑制のカギ』
というタイトルの論文が発表されています。

この論文のポイントとして書かれているのが以下の部分。

・腎臓病の病態において腸内細菌叢を含む腸内環境の変化が報告されている。
・腸内細菌叢は尿毒素産生に関わるが、無菌の慢性腎臓病マウスでは腎臓病がより悪化。
・腸内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病の進展予防に重要である。

なんだかわかりにくいな。

猫せんせい
猫せんせい

うむ、研究論文の文章は
猫せんせいにもわかりにくいですな。

そうですね、管理人もみじにもわかりにくいです。
なので、上の引用部分をわかりやすく書き直すと、

  • 腎臓病になると腸内環境が悪化しやすい
  • 腸内細菌がないと腎臓病は悪化する
  • 腸内環境を良くすることが腎臓病の進行を抑えてくれる

こんな感じでしょうか。
真ん中がちょっとわかりにくいのですが、
「腸内の悪玉細菌は腎臓に悪い影響を及ぼすが、
善玉細菌は良い影響をもたらしてくれる。
実験で使用した無菌マウスで腎臓病が悪化したのは、
善玉細菌がなかったからだ。」
という感じでしょうか。

これにより、最後の

腸内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病の進展予防に重要である。

が導き出された、ということです。
要は腸内環境を良くすれば、善玉菌の働きが活発になって
腎臓病の進行を抑えられるし予防にもなるよ、
ということですね。

腸内環境が悪いと猫の腎臓にどんな悪影響がある?

腸内環境が腎臓にもたらす悪い影響には

  • 腎臓で処理する毒素が増えてしまう
  • 便秘になりやすい

というものがありますが、これらはいったいどういうことなのでしょうか?

腎臓で処理する毒素が増えてしまう

腸内環境が良いと善玉菌が増え、悪いと悪玉菌が増える。
このことは多くの人が知っていると思いますが、
この悪玉菌は、タンパク質をエサにします。

「エサにする」とは単純に食べることではなく、
腸に入ってきたものを発酵させることなんですが
悪玉菌はタンパク質を発酵させる過程で
インドールという物質を作ってしまいます。

ちなみにこのインドール、
ウンチの臭いのもとの代表格でもあります。

インドールは有害物質、毒素なのでそのままにはしておけません。
なので、肝臓に運ばれインドキシル硫酸という物質に変換され、
その後腎臓に運ばれオシッコと一緒に体の外に追い出されます。

これは猫の血液検査をしたとき、
必ずある項目、「BUN」と同じ流れです。
BUNは、腎不全になっているかどうかの
判断に使われるから知ってる人も多いですよね。

タンパク質を代謝した時できてしまうアンモニア、
これもインドールと同じく毒性の強い物質なので、
肝臓で無害な物質に変換させるのですが、これがBUNです。
日本語で言うと「尿素窒素」。

BUNも、腎臓に運ばれオシッコと一緒にポイされるのですが、
腎不全になると、腎臓のろ過機能が衰え、
本当ならオシッコと一緒にポイしなければならない
BUNが血液の中にたくさん残ってしまうようになります。
だから血液検査でBUNが増えていると腎不全かも?
となるわけです。

と、話はそれましたが、
インドキシル硫酸も腎臓のろ過機能を使って
オシッコと一緒にポイする必要があるので
腸内環境が悪く、悪玉菌が大活躍してしまうような状況だと
インドールがたくさん作られるようになり、
インドキシル硫酸もたくさん、
それで腎臓に負担が大きくなってしまうのです。

便秘になりやすい

慢性腎不全の猫の場合、
食欲不振、脱水、活性炭などの腸内の毒素を
吸着するためのサプリメントの影響で
便秘になりやすいと言われています。

便秘になると、ウンチが腸内にとどまる時間が長くなり、
ウンチが腐敗して有害物質を作り出してしまいます。
この有害物質を処理するために、
BUNやインドールと同じ流れで腎臓の仕事は増えるし
有害物質が多いことで、悪玉細菌も増えてしまうんです。

非CKD患者を対象とした疫学研究では、
便秘を合併している群は非便秘群と比較して
CKDへの移行率および末期腎不全に陥る危険性がより高く、
さらに便秘の重症度とeGFR低下速度の相関性が示されている。

これは日本内科学会雑誌という学術誌に掲載された、
「見えてきた腸腎連関の存在」という論文からの引用ですが、
便秘のせいで腎臓への負担が増えることで、
腎不全になりやすくなることを示しています。

「CKD」というのは慢性腎臓病の略で、
「eGFR」というのは推算糸球体濾過量のこと。
推算糸球体濾過量ってわかりにくいですが、
腎臓に老廃物を尿へ排泄する能力が
どれくらいあるかを示す数値で
この数値が低いと腎機能が低下してますよ、
ってことです。

こういう文章を読みなれていない管理人もみじなので、
簡単に書き直すと

「便秘の人は腎不全になりやすいです。
また、便秘がひどい人ほど腎機能が低下しやすくなります。」

って感じでしょうか。
これはヒト対象の研究ですが、猫も同じ哺乳類、当てはまるはずです。

今すぐ始めたい猫の【腸活】

このように、腸内環境と腎臓の状態には
深いかかわりがあることがわかってきましたが、
困ったことに猫はヒトや犬より腸内環境が悪化しやすい生き物です。

猫の腸内環境が悪化しやすいたった1つの理由とは?
ヒトや犬と比べて、猫の腸内環境は悪化しやすいです。なぜ猫の腸内環境は悪化しやすいのか?その理由をわかりやすく説明しています。

この記事で書いたように、肉食獣の猫にとって理想的な食事ほど
腸内環境は悪化しやすいんです。

愛猫の健康を願い、良質なキャットフードを
与えている飼い主さんも増えていますが
大切に育てられている猫でも、理想的な食事、
つまり高タンパクな食事である限り、
腸内環境の悪化とは常に向き合わなければなりません。

腎臓は他の臓器とは違い、再生しない臓器、
一度壊れてしまったらもう元には戻りません。

慢性腎不全に苦しむ猫も、今はまだ元気で健康な猫も、
腎臓と言う再生しない臓器を大切にするためにも
【腸活】を始めてみませんか?

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